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どこにでもある戯れ言日記です。 日々のつぶやきから萌えの叫びまで。
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PKGDCQで140字(を大幅にオーバーした何か)。
あんまりにも長いので、途中で文字数を数えるのを諦めました。

もしコロナが自分の出自や両親のことを知ったら、というifの話。
若干表に出していない設定なども絡みます。ご了承ください。




夜風が冷たい。南方の領地とはいえ、飛空艇の上は故国と変わらず肌寒い。
見上げればすぐ近くまで星空が広がっていて、ざわついた心を落ち着かせてくれる。
……いつもと違う夜だからだろうか。誰かに話を聞いてほしくなったのは。

「申し訳ありません。私の身の上なんて聞かせてしまって」
「気にすんなって。話して楽になるんなら好きなだけ吐き出していきゃいい……あっ」
仮にも補佐殿に失礼な話し方を、と領主が気恥ずかしそうに頭を下げる。
気を使わないでいいと言ったのはこちらなのだから、別に構わないのだが。
そう伝えると、人のよさそうな領主は困ったような顔で笑った。

「……私は国主様の苦しみが積み重なった結晶のようなものです」

低く響く飛空艇の稼働音を聞きながら、コロナはゆっくりと語りだした。
初代国主も、その奥方とご子息も。
あと少し幸せであれば、私が生まれることはなかった。
――ならば、私は何なのか。

「生まれなければ良かった、とは言いません。
国主様のご子息を否定することに繋がりますから」

しかし、今の国と王を支えるのが自分でいいのだろうか。
国主の血を継ぐ者達が長く苦しんだ末に、人知れず産み落とされた子が。
どうしても違和感がぬぐえない。
それ以上は言葉に詰まり、押し黙った。
周囲には誰もいない。彼女の苦悩を受け止めるのは、この船だけだ。

「……これは、独り言だが」

それまで黙っていたゼファーが、不意に呟いた。

「なにも都合の悪いとこだけ、血の繋がりを意識しなくってもいい。
全てを捨てて生きるか、”家族”の誇りも罪も全部背負うか……どっちかだ」

「随分と、簡単に言ってくれますね」
「独り言だからな。もし俺が『血を分けた誰かを苦しめたこと』で悩んだとしたら、
そのどっちかを選ぶと思う」

ゼファーは空を見つめたまま言葉をつづけた。
つられてコロナも再び空を見上げる。……月が、低い空にかかっている。

「あんたの悩みが『自分が補佐に相応しくないこと』ならはっきり言ってやれるんだが。
……今、あんたの国に求められているのは優秀な補佐だ」

――ああ全く、とコロナは深くため息をつく。
微細な感情を一切無視した、非常に単純な答えだ。
率直にそう言うと、ゼファーは全く悪びれもせず答えた。

「悩んで悩んで心を病んだ人達ってのを、何人か見てきたからな。
この土地に住んでんのはよっぽど単純な奴か、でなきゃよっぽどの変人だ」

そう言って、南方はどこもこうだと思わないでくれと慌てて付け加えた。
当然そこまで偏った見方をするつもりはない。
しかしいつもと違う夜は、確かにいつもと違う答えを導き出してくれたようだ。
……それが役に立つか否かは、ともかく。

「話してみた甲斐はあったようです。
すぐに解決する問題ではありませんが、少しは先が見えたような気がします」
「そうか?ならよかった。いつか、あんたなりの答えを見つけられるといいな」

元の人懐こい笑みを向ける。
夜が明ければまた、異国の補佐と領主の関係に戻る。
最後に軽く一礼して、船内に続く扉を開けた。

「……俺はまだ、見つけられない、けどな」

背後で聞こえた寂しげな声には、気づかないふりをした。
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