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どこにでもある戯れ言日記です。 日々のつぶやきから萌えの叫びまで。
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PKGDCQさんに参加しているシズナアリス組もとい
テラアリアのifストーリー。
シズナアリスにロゥクーラが攻め込んできた直後の話。

流血、死亡表現あり。ご注意ください。


剣戟の音、人々の悲鳴が次第に静かになっていく。
ロゥクーラの襲撃事件が収束に向かっているのが、
城から遠く離れたここからでもわかった。

「観念しなさい。じき、街を荒らした邪魔な穢れの塊は消える。あんたの負けよ」

周囲には、自分と相手の他には誰もいない。
増援は望めないが、邪魔が入ることもないだろう。
……それはむしろ、互いにとって有り難い状況でもあった。
アリアが神姫護衛部隊としての任務を放棄しても――当然姫君の安全が確保されていることを確かめた上での行為だが――ここに来た理由、
それはロゥクーラの襲撃を裏で手引きしていた人間を追っていたために他ならない。
ましてや、それが同じ志を持っていた騎士とあれば。尚更放っておくわけにはいかなかった。

「他の人達もあんたを探してる。逃げたってすぐ見つかるわ。
……ねえ。あんたはこっち側の人間じゃなかったの?なんでロゥクーラなんかと一緒にいたのよ」

アリアと対峙している裏切り者――テラは、答える代わりに槍を彼女へと向けた。
穢れに憑かれた魔物に紛れて人を襲い、腕利きの騎士たちを相手にして敗れた裏切り者。
衣服は血で染まり、袖口からは真新しい傷跡が見え隠れしている。
既に獣と化すだけの力も失くしているように見えた。
しかしその瞳は狂犬のように獰猛で、憎しみの色は未だに抜けていない。

「こちら側の人間だと?笑わせる。脆弱で卑怯な人族どもと一緒にするな」
「それ以上戦っても無駄よ。今すぐ降伏して。でなきゃ、あんたまで討伐されちゃう」
「いずれにしても殺すつもりだろう。かつて我が一族を手にかけたようにな。
この国は、穢れに選ばれた者を許しはしない。例え、戦う術を持たない幼子であっても」

そう言ってテラは口の端をゆがめた。
何処か意味ありげな物言いに引っかかるものを感じたが、深く追及する余裕はない。
いくら街の外れで人々が寄り付かないといっても、いずれ他の騎士が彼を探しに来るはずだ。
そうなれば彼は弁解の余地もなく殺されてしまうだろう。
出来ることならばその前に、自分の手で決着をつけたい。
――それが最悪の形になったとしても。

「降伏する気はないの?あんた、このままじゃ本当に死ぬわよ」
「こんな所でみすみす死ぬつもりはない。
今ここで貴様を殺し、再起の時が来るまで逃げ延びるまで」
「あたしを殺す?正気なの。今だって傷だらけで死にかけのくせに」
「……試してみるか?」

テラの口元に刻まれた笑みが深くなる。
今引かなければ死ぬと分かっていて、なおも自分に挑むつもりなのか。
――それとも。

「お望み通りやってやろうじゃないの」

アリアは相手を真っ直ぐ見据え、意識を集中させた。
相手は手負いの獣だ。生半可に情けを掛ければ、却って我が身を危険にさらしかねない。

アリアが双剣を構えると同時に、目の前が霞み暗くなる。
持てるだけの魔力を瞬間的に両足に込め、視界が効かないのもお構いなしに
一気に間合いを詰めて相手が動く前に剣を突き刺す。

「――――……!」

確かな手ごたえを感じたと同時に、テラの口から僅かにうめき声が漏れる。
一時的に瞬発力を上げ、また小さな剣の勢いを増幅させる程度の魔術は
彼女にとっては造作のないことだった。

「……これだけは覚えといて」

剣にかけた術を解き、片手剣をゆっくり引き抜きながらアリアは言った。

「人族にも良いやつはいるし、魔族にも悪い奴はいる。
穢れだけで人を見るのは間違ってるって、あたしはこれからも言い続けるわ」

そう言い放つと、もう片方の剣をまっすぐテラの首に突き立てた。
正常に戻ったアリアの視界に鮮血の赤が散り、腕や顔に熱いものがかかる。
見開かれた瞳からは光が消え、直後に力の抜けた身体が腕に寄りかかる。
自らの重みで剣がさらに深く沈んでいくのを感じ、
えも言われぬ嫌悪を感じて思わず突き飛ばすと彼の骸はアリアから離れて地に倒れた。

(何やってんだろ。仮にも一国の騎士が、よりにもよって死体が怖いなんて)

彼の血が地面に滲むのを眺めながら、アリアはぼんやりとそんなことを考えた。
……考えてみれば、騎士になってから相手する者といえば
殺すほどの悪党でもないならず者か、ロゥクーラに操られた者共ぐらいだ。
生きた人間を手にかけた経験など、数えるほどしかない。
――それも、かつては仲間と信じていた同じ騎士となればなおさら。

やり切れない思いを抱えながらテラの傍にかがみ、見開かれたままの赤い目を閉ざした。
そして彼の身体を肩に担ぎ、よろめきながら仲間が待つ場所と歩き出した。
……上官への報告と、持ち場を離れたことの言い訳を考えながら。


とりあえずテラを殺したかった

数日ほど前に唐突に降ってきた、
「いつかテラが騎士団に刃向った時、彼を殺したのがアリアだったらいいな」というネタ。
今は潜伏していますが、テラも騎士団や国を滅ぼそうとする悪役ですしね。
ツイッターで国同士の戦争や内乱の話、罪人への処罰の話などが盛り上がっていたので
思い出したついでに勢いで書ききりました。

補足1つ目。
一時的に瞬発力を上げる魔法=ロックカットのイメージでした。
事前に相手の立ち位置を確かめる→視力を補っている魔力も全て移動に回す→
相手が反応する前に素早く移動して刺す。
視界が効かなくてもこれなら問題ないかなと。
元々は本家ポケモンと同じく一時的に素早さを上げる魔法で、視界を犠牲にせずとも十分発動可能。
これは模擬戦でも使用しているためテラも見たことはあるはず。
ただ効果時間を短くして爆発的に反応させ、一瞬だけ飛躍的に速度を上昇させる技は
見たことがなかったので咄嗟に対応できなかった……という裏設定。


補足2つ目。
これは描写とは関係ないのでほぼ裏設定なんだけど、
テラは人族よりも「人族も魔族も変わりはないと擁護する人間」が嫌い。
なのでアリアの台詞はテラにとって一番聞きたくないもので、
最悪な思いの中で殺された。
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